前回までは、私の修行先である三扇ジュエリーでの修業の日々についてでしたが、ここで仕事をすることが最終目的ではありませんので、日々の仕事をしながら何か自分自身の仕事を立ち上げていかなければと考えておりました。

 

修業を始めて1年ほどが経った2003年の冬のある日、嫁さんから誘われて東大阪にあるベタニヤチャーチというキリスト教会に行った時のこと。
2階にある会堂へ入り正面の壁にある十字架を見たときにひらめきました!

 

「綺麗なデザインだなぁ。
ヨッシャー、この十字架をモデルにペンダントを作ろう!」

 

そして後日、シルバーの板を糸ノコで切り、考えたデザインに従ってヤスリで表面を削り、研磨、バチカンを付けて一つのペンダントを作りました。

 

表面が平面ではなく十字の部分が山の峰のようになり、十字の4端を斜めにカット、結果的に表面が12面になったデザインのクロス。
12の面で光の反射が変わり、キラキラと輝くクロス、名づけてベタニヤクロスの誕生です。

 

 

歩く広告塔として嫁さんに身に付けてもらい、友人に勧めて1つ、2つ買ってもらい、という形で自分の商品の販売を始めたのです。

 

 

しばらくすると、嫁さんの知人で兵庫県加古川市在住のFさんからベタニヤクロス1つの注文が入り、その後不定期にポツリポツリと注文を頂きました。

 

更に、Fさんのご紹介で大阪府和泉市にある教会併設のショップに商品を置いてみないか?との声をかけて頂き、委託販売のため品物を送り、また実際に訪問して販売をお願い。

 

また、兵庫県朝来市の彫刻家、藤本イサム氏(実は嫁さんの親戚)の工房で開かれた2004年冬の贈り物展にも商品を並べさせてもい、2週間ほどの展示販売。

 

時期は少し後になりますが、アメリカ人の牧師ベニーヒンが神戸ワールド記念ホールで開いた大規模な集会や、同じく神戸で開催されたFGBジャパンというクリスチャンの大会などでも出展販売。

 

 

委託や展示販売を続ける傍ら、商品が一つだけでは話になりませんので、ベタニヤクロスのデザインを基本に小ぶりにしてイヤリングやピアスにする他、商品の種類を増やていきました。

 

 

ここでその一部をご紹介。

 

修行先で、プラチナとゴールドのコンビリングを見て、プラチナの清楚な輝きと、ゴールドの豪華さのコントラストがとてもきれいだったのでそこからの発想で、シルバーとゴールドのコンビペンダントをデザイン。
シルバーのベタニヤクロスの峰の部分にφ0.5mmの穴を空け、裏からその穴に向ってレーザー溶接機を使いパルスを照射して細いゴールドのクロスを溶接した、名づけて天のクロス。
これは溶接部分が見えず、ゴールドのクロスが表面にただ乗っているだけかのように見える構造。
このデザインで、つや消しを組み合わせ3種類のペンダントを作りました。

 

 

 

また、リングの中にぶら下げた小さなクロスがプルプルとかわいくゆれて輝くマリアのクロス

このリング部分の直径は10mmで中のクロスの縦が6mmと小さな小さなペンダントです。

 

動きのあるペンダントを作って見ようと思い、デザインしたシオンのクロス。
強固な平打ちリングを要塞(シオン)に見立て、リングに囲まれた小さなクロスが自由に回転。
クロス部分は片面がシルバーとゴールドのコンビ。

 

その他、7石のカラフルな天然石をドッツ留めしたコロッと可愛い七色のてんとう虫のペンダントと、キュービックジルコニアの白いてんとう虫のペンダント。

 

三日月から光のしずくがこぼれ落ちるイメージで作った月のしずく。チェーンを通す場所を変えることにより、2種類の表情を楽しめる構造。

 

「リングだけのイヤリングも可愛いよ。」 と人から聞いて、単純なリングだけではオモシロくないと作ったのがこれ。

リングが2重になり、内側のリングには星に見立てた2つの天然石が留まって、更に内側のリングが自由にクルクルと回転するピアスとイヤリング。
連星をイメージしたもので、名づけてダブルスター。

 

 

宇宙に無数に存在する渦巻き銀河をイメージしたペンダント”銀河”

 

 

などなど、三扇ジュエリーで身に付けた技術と、工具、装置類をフル活用して日々の昼休みや仕事終わり、休日の日曜日などを利用して商品を増やし、販売ルートを色々と模索していきました。

しかし、販売できた商品数はわずかなものでしたし、材質もシルバーですので単価も安く、売り上げも微々たるものでした。

 

そうこうしている間に、2004年も終わり、2005年が始まり、会社を辞めて2年が経とうとしておりました。

 

そんな時、地元の新聞である両丹日日新聞の手作り作家有志が集まり手作り市の開催を計画し、参加メンバーを募集中との記事が目に留まったのでした。

 

次回 春日手作り市 へ続く

代表プロフィール

春日井 利光
春日井 利光
むちゃくちゃ忙しい宝飾店の工房で10年の修行の後、独立。
ある二組のご夫婦との出会いをキッカケに、二人で作るマリッジリング(結婚指輪)のプログラムを始める。 お二人の大切な思い出と共に残る結婚指輪の手作りを全面的にサポートしています。
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