2005年10月のアート・クラフトフェスティバルinたんばへの出店が無残な結果に終わった直後のある日のこと。

修行先の三扇ジュエリーの仕事を終えて帰宅すると、クラフトフェスティバルでウチのテントを訪れたという女性から電話があったとの伝言が。

 

さて、誰でしょう?
頭に浮かんだのは、彫金を教えて欲しいと仰った女性グループのこと。

早速、メモしてあった電話番号に電話をしました。

 

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私 「お電話頂きましたようで。」
女性「はい、一度お店の方へお越し頂いて。」
私 「え? お店での彫金の教室をご希望ですか?」
女性「いいえ。お店に商品を置いていただいてはどうかと。」
私 「こちらの工房に来て彫金をされるのではなくて?」
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どうも話しが噛み合いません。

 

よくよく話しを聞けば、私の勘違いで、電話の相手は別の人。
そういえば、メモを取りながら質問をされた方がありまして、どうもその人らしい。
西宮で手作り作家の店○○クラブ(あえて名前は伏せます)を運営しており、クラフトフェスティバルで私の商品を見て可能性を感じたのでご自身の店舗で展示販売をしないか?というお誘いの話しでした(^^)

 

ヤッター!! やっと運が巡って来たか! o(^o^)o

丹波のクラフト展で商品が一つも売れず、気持ちが落ち込んだ後だったので、何より、私の作ったものに興味を持って頂き、販売したいという人が居たことが嬉しかったのです(^o^)

 

早速その週末の金曜日に嫁さんと二人、その店がある兵庫県西宮市苦楽園へと向ったのでした。
2005年10月7日のことです。

 

店に着き、迎えてくださった経営者はやはりクラフト展で私のテントを訪れて下さった女性、Sさんでした。
お話を聞くと、元は神戸三宮で飲食店を経営されていたそうですが、阪神淡路大震災で商売が続けられないほどの被災。
そして、ここ西宮の苦楽園に移り2階がレストラン、1階に手作り作家の店と花屋を併設した店舗を経営されているとのこと。

 

色々と苦労された話しに加え、ここ苦楽園は高級住宅地であるため、お金持ちが多く値段の高い商品でも売れるとも。
店を訪れたお客さんの話しの端々に芸能人や元プロ野球選手で監督も務めた人の名前など何人かの有名人の名前も出てきました。
話し好きな人だな、というのが印象に残っています。

 

一方、私がどんな経歴でどんな思いで作品を作っているかについてお話ししかけましたが、その点についてはあまり興味が無いような感じ。

 

 

通常の展示販売は、例えば売り上げの30%を店側が取り、残り70%が手元に残るという何割かを販売手数料として店側が受け取るというのが一般的ですが、ここは、100%こちらが取っていいとの事。どいうこと?

 

ここのシステムは、商品の展示スペースを月極めで貸し出すというものでした。

 

提案された展示スペースは上の写真の場所よりも良いガラスケースで、月極めの料金も2倍でしたが、作品の感じからこちらの方が良いとのことで同意しました。

 

やっと訪れたチャンス! 失うものは何もありませんので6ヶ月の展示販売の契約を交わし、後日契約金を振り込み商品も送りました。

 

<私の展示スペースは私の後ろのガラスケースの中>

その後送られてきた手紙にはこんな文面も。

 

 

【春日井さんの作品、まだ短い期間ですがお客様に好評ですよ。技術レベルが高い、とても丁重(丁寧?)とよく言って下さいます。】

 

期待に胸が膨らみます。

 

ここは、高級住宅街という絶好の立地。
私の商品の価格帯は数千円~1万円~1万5千円程度ですので、月に2~3点、高いものなら1点売れれば元は取れる。それ以上売れれば儲けになる。
そんな皮算用でした。

 

ところが・・・期待とは裏腹に売れません。

 

やっぱり私の作品には商品力がないのか。

 

ひとつ気になることが。
それは、2005年10月の訪問時、お昼前から午後3時頃までその店にいたのですが、お客さんが一人も無かったこと。

『たまたまかな? まあ、平日(金曜日)だし、週末には賑わうのだろう。』

と良いように考えていたのですが、その後も気になって、何ヶ月か後に今度は土曜日の午後に再度訪問したのです。

 

この時も何時間か滞在したのですが、その間の来店客はたった1人。
しかし、その1人はお客さんではなく、出店者で自分の出店スペースの様子を見に来ていた模様。
売れるか売れないかよりも先に、来店客数が極端に少なすぎるのでは?
急に不安が募りました。

 

通常の売り上げの何割かの手数料を取るシステムの場合は、店舗側も売上げを上げるために集客など色々努力をすると思います。
しかし、ここの展示スペースを貸し出すシステムでは、出店者を見つけた時点で店側の仕事は終わり。
また次の出店者を探すことに力が向くはず。

 

展示品が売れても売れなくても店舗側の売上げには関係なし。
極端な話し、集客努力の必要は無いわけです。

 

結局2006年の9月まで、ほぼ12ヶ月展示販売しましたが、売れたのは数点にとどまり、当然結果は大赤字(涙)。

 

私はいいカモにされたのか?
いえいえ、そんなことは無いはず(と思いたい)。

 

こうして、期待して始まった店舗での展示販売はこれもまた無残な結果と終わったのでした。

私のお客さんは一体どこにいるのでしょうか?

 

次回、HPを作ろう! に続く

代表プロフィール

春日井 利光
春日井 利光
むちゃくちゃ忙しい宝飾店の工房で10年の修行の後、独立。
ある二組のご夫婦との出会いをキッカケに、二人で作るマリッジリング(結婚指輪)のプログラムを始める。 お二人の大切な思い出と共に残る結婚指輪の手作りを全面的にサポートしています。
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